令和5年(2023年)2月3日に横浜市立南高校付属中学校の適性検査が行われましたね。
いよいよ令和6年度の受験(受検)の始まりです。横浜南の問題といえば、全国の公立中高一貫校の中でもトップクラスの難しさで、腕試しのために取り組む人も多いのではないでしょうか。
受験生だった娘の受験勉強に付き合って、銀本や過去問を解きまくっていた経験を活かして、どこよりも早く市立横浜南高附属中の解説をします。
解説では、問題文や設問の全てを載せていないので、カナロコさんのページなどから、問題文をダウンロードしてお手元におきながら解説を確認してみて下さい。
令和5年度(2023年度)入学者向けの横浜市立南高校付属中学校の適性検査の問題と解答が、カナロコ(神奈川新聞のサイト)で公表されています。
過去問は、夏ごろに「声の教育社」や「東京学参」から過去問問題集が発売されます。
「声の教育社」より最新年度が収録された過去問が発売されています。
適性検査Ⅰについては、こちらで解説しています。
さて、今回の適正検査Ⅱの問題はどんな感じだったのでしょうか?
令和5年(2023年)2月3日に行われた横浜市立南高校付属中学校 適性検査Ⅱをみてみましょう。
本番さながらで適正検査Ⅱを解いたところ、かかった時間は45分間でギリギリで、1問ミスしてしまいました(涙)。
目 次
令和5年度(2023年度)横浜市立南高校付属中学校 適性検査Ⅱはどうだった?
問題が22ページ(白紙ページを含む)にも及び、専門用語も躊躇なく登場するので、分からない単語で混乱して手が止まってしまうと時間的には足りなくなってしまったかも。扱う題材は「単位分数」や「三角数」と言った難関私立の中学受験ではお馴染みだったり、「合成抵抗」と言った少し背伸びをした題材を扱っているため、既にこうしたことを見聞きをしていると問題文を素早く読んで理解できたかもしれなかったですね。
ここ最近の横浜市立南高付属の適性検査Ⅱの傾向は、かつてのようなほとんどの受検者が解けない難問は出さずに、面倒くさい説明を適度に読み飛ばし、問題を解くのには不要な専門用語(多くはカタカナ用語)に惑わされず、手を動かしながら最短での解答を模索させているように思えます。
適正検査Ⅰも同様の傾向ですが、大量の資料(説明文)からいかに必要な情報を探し出して利用できるかを、特に重視していますね。大学受験の傾向の変化を見据えての変化だと思うので、しばらくはこういった傾向の問題が続くかもしれませんね。
算数系の問題が2問、理科系の問題が2問の計4問の構成。
大問1は、単位分数を使ったエジプト式分数のお話。単位分数を使った問題は、特に難関私立の中学受験ではよく出る問題であるし、算数の不思議のようなコラム本には、よく載るような話題なので、算数ネタが好きな子ならエジプト式分数について見聞きしたことがある人もいるかも。
大問2は、麺のレシピからタンパク質の抽出までを扱った実験系の問題。グルコースやアルブミンと言ったカタカナ用語が頻出するが、そこをひるまずに適度に読み飛ばして取り組めるかが鍵となる。料理は科学だね、と感心してしまった問題。
大問3は、三角数や平方数(問題中では正方形数と表記)、場合の数、数列の処理、平面図や立体図形をリンクして考えさせる難度の高い問題。公式や解き方を知っていれば自動的に求められるよう問題ではなく、図形を用いた解法の発展が素晴らしい。解答用紙の不備により、一部の問題が全員加点の措置になって差が付かなくなったのは残念。
大問4は、電気回路の合成抵抗(いわゆるオームの法則)の問題。合成抵抗(オームの法則)は中学の学習内容だが、難関私立中学での入試ではしばしば出される題材ですね。ただし、今回の適性検査では、合成抵抗の計算の方法はあらかじめ知らなくとも、問題文中に丁寧な説明があるので解くことはできます。知っていれば途中の説明は不要で設問のみで容易に解くことができるので、こういう問題は難易度の判定が難しいですね。一応、わたくし理系の大学院出身なので、簡単に解いてしまいましたが(後半時間が足りなくて、途中の会話文はほぼ読まずに飛ばして解いてしまった…)、小学生で初見だとちょっと大変だったかもしれないですね。
適性検査Ⅱ
大問1
問題1
問題文中で先生が「$\dfrac{4}{5}$はほかにも ①$ \underline{\dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{ア}} $という計算でも表せます。」と述べていますね。
問題1【解説】
$ \dfrac{4}{5} $が、$ \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{ア} $と等しいので、分母を同じにして比べてみれば良いですね。
それぞれの分母(5、2、4)の最小公倍数は20なので、分母を20にして比べてみます。
$ \dfrac{16}{20} = \dfrac{10 + 5}{20} + \dfrac{1}{ア} = \dfrac{15}{20} + \dfrac{1}{ア}$ となることから、アは20となる。単位分数とは分子が1の真分数あることから、$ \dfrac{1}{20} $で成り立つと分かる。
問題2
問題2【解説】
みなみさんが「最初にできるだけ大きい一切れで配った後」と言った後で、②の文の後に残ったピザを3等分するとある。3等分より大きな一切れは2等分なので、まず最初に2等分したピザを8人に配ったことが分かる。
$ \dfrac{1}{2} \times 8 = 4 $ より最初に配ったピザは4枚相当。
よって、残ったピザは$ 7 ー 4 = 3 $で3枚と分かります。
解答には直接関係ないですが、このまま$ \dfrac{7}{8} $を単位分数の和となるように求めてみたいと思います。まず、2等分したピザを配り、その後で3等分したピザを配ってもまだ残っているとあるので、$ \dfrac{7}{8} = \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{ウ} $ と書くことができます。
各分母(8、2、3)の最小公倍数は24なので、
$ \dfrac{21}{24} = \dfrac{12 + 8}{24} + \dfrac{1}{ウ} = \dfrac{20}{24} + \dfrac{1}{ウ} $となり、ウは24と分かります。
よって、$ \dfrac{7}{8} = \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{24} $と表すことができる。
問題3
問題3【解説】
3等分を4等分に変えてとあるので、
$ \dfrac{7}{8} = \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{3} + ? の2つ目の \dfrac{1}{3} を \dfrac{1}{4} $にかえればよいので
$ \dfrac{7}{8} = \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{エ} $までは確定する。
問題1の解説と同様に、分母を合わせてみる。
各分母(8、2、4)の最小公倍数は8なので、
$ \dfrac{7}{8} = \dfrac{4 + 2}{8} + \dfrac{1}{エ} = \dfrac{6}{8} + \dfrac{1}{エ} $ となるので、エは8と分かる。
問題4
問題4【解説】
「最初にそれぞれ3等分した場合・・(略)・・以外で新たに3つの式を発見」とあるので、最初の単位分数は $ \dfrac{1}{3} $ で確定する。また、「3つの異なる単位分数の和で表す」とあるので、$ \dfrac{3}{7} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{オ} + \dfrac{1}{カ} $ と表すことができる。
一人分の分け前全体は$ \dfrac{3}{7} $ です。1回目の分け前として$ \dfrac{1}{3} $ をもらったので、残りの2回分の分け前でどれくらいもらえるかを考えてみる。
$ \dfrac{3}{7} ー \dfrac{1}{3} = \dfrac{9 ー 7}{21} = \dfrac{2}{21} $ となるので、あと2回の分け前の合計として$ \dfrac{2}{21} $がもらえるということになります。
2つの単位分数を足して$ \dfrac{2}{21}$ 、すなわち$ \dfrac{2}{21} = \dfrac{1}{オ} + \dfrac{1}{カ} $ となる「オ」と「カ」の組み合わせを3つ探すということです。
ここで、「オ」と「カ」を同時に探すことは難しいので、「オ」を仮に与えて「カ」を求めることを、何回か繰り返して行うこととします。
まず、「オ」を仮に決めるやり方です。
2回目と3回目の分け前の足し算である$ \dfrac{1}{オ} + \dfrac{1}{カ} $ が $ \dfrac{2}{21} $ と等しいということは、$ \dfrac{1}{オ} と \dfrac{1}{カ} $ は、それぞれ $ \dfrac{2}{21} $ よりも小さくなるはずです。
よって、オを仮に決める、すなわち2回目の分け前を考える時に、$ \dfrac{2}{21} $よりも小さい単位分数とは何かを確認してみる。
単位分数とは分子が1の分数なので、$ \dfrac{2}{21} $も分子を1にして考えてみましょう(分母、分子をそれぞれ2で割る)と、$ \dfrac{1}{10.5} $ となります。
分母が小数になって見慣れないかもしれませんが、この分数よりも小さい数を探していくと考えればよいので、分母すなわち「オ」は10.5よりも大きい整数になるはずである。
よって探すべき分母(「オ」)は、11、(12は既に出ているので飛ばす)、13、14…と一つずつ仮決めして「カ」が単位分数の分母となるかを確認していく。
【分母のオを11とする場合】
$ \dfrac{3}{7} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{11} + \dfrac{1}{カ} $となるので、各分母(7、3、11)の最小公倍数である231で分母をそろえる。
$ \dfrac{99}{231} = \dfrac{77}{231} + \dfrac{21}{231} + \dfrac{1}{カ} = \dfrac{98}{231} + \dfrac{1}{カ}$ となり、カ=231で成り立つ。
オが11の場合、カが231となる。
【分母のオを13とする場合】
$ \dfrac{3}{7} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{13} + \dfrac{1}{カ} $となるので、各分母(7、3、13)の最小公倍数である273で分母をそろえる。
$ \dfrac{117}{273} = \dfrac{91}{273} + \dfrac{21}{273} + \dfrac{1}{カ} = \dfrac{112}{273} + \dfrac{1}{カ}$ となり、$ \dfrac{1}{カ} = \dfrac{5}{273}$ となる。
ただし、単位分数にはならず(分子が1でなく、約分もできないから)「3つの異なる単位分数の和」では表すことができないため、 オは13ではない。
【分母のオを14とする場合】
$ \dfrac{3}{7} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{14} + \dfrac{1}{カ} $となるので、各分母(7、3、14)の最小公倍数である42で分母をそろえる。
$ \dfrac{18}{42} = \dfrac{14}{42} + \dfrac{3}{42} + \dfrac{1}{カ} = \dfrac{17}{42} + \dfrac{1}{カ}$ となり、カ=42で成り立つ。
オが14の場合、カは42となる。
【分母のオを15とする場合】
$ \dfrac{3}{7} = \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{15} + \dfrac{1}{カ} $となるので、各分母(7、3、15)の最小公倍数である105で分母をそろえる。
$ \dfrac{45}{105} = \dfrac{35}{105} + \dfrac{7}{105} + \dfrac{1}{カ} = \dfrac{42}{105} + \dfrac{1}{カ}$ となり、$ \dfrac{1}{カ} = \dfrac{3}{105}$ となる。
$ \dfrac{3}{105} $は約分して$ \dfrac{3}{105} = \dfrac{1}{35} $ と単位分数で表すことができる。
オが15の場合、カは35となる。
以上で、新たに3つの式を発見することができた。
大問2
問題1
問題1【解説】
【レシピ】より、薄力粉と強力粉を1:1で混ぜると中力粉の代わりになると分かる。できるだけ多くのうどんを作るためには、薄力粉と強力粉を200gずつ混ぜて400gの粉(中力粉の代わり)を作ることができる。
中力粉100gに対して水は45g必要なので、中力粉の代わりの粉400gに対して必要な水の重さは、$ 45g \times 4 = 180g $と分かる。
塩は中力粉の重さの5%が必要なので、$ 400g \times \dfrac{5}{100} = 20g $ が必要と分かる。
問題2
問題2(1)【解説】
《作り方》⑦と⑧では体積は同じはず。伸ばす前の⑦の体積は球の体積の求め方を使って計算する。⑦での球は直径が与えられているが、球の体積を求める式では「半径」であることに注意する。⑦で直径6cmより、半径は3cmとなるので、球の体積は3×3×3×4÷3×円周率
⑧は直方体となっており横の辺の長さが分からないので★としている。また、厚さ(高さ)が3mmなので、単位をcmに合わせるために、0.3cmとして、⑧での体積は、24cm ×0.3cm × ★となる。
3 × 3 × 3 × 4 ÷ 3 × 円周率 = 24 × 0.3 × ★となるが、左辺、右辺をそれぞれ掛け算で計算する前に右辺を2 × 12 × 3 × 0.1 × ★と考えてできるだけ整理してしまおう。
3 × 3 × 3 × 4 ÷ 3 × 円周率 = 2 × 12 × 3 × 0.1 × ★
左右で同じ掛け算となっているものを整理するなどすると
円周率 = 2 × 0.1 × ★ となる。円周率は3.14なので、 3.14= 2 × 0.1 × ★ となる。
3.14 × 10= 2 × ★ と変形できるので、★は31.4 ÷ 2=15.7となり ウ である。
問題2(2)【解説】
(1)で求めた横の長さ15.7cmを【レシピ】の⑧にあるように5mmの幅に切る。15.7cmは157mmなので、157÷5=31.4。幅が足りないもの、すなわち小数点以下は切り捨てると考えるので、31本となる。
問題3
問題3(1)【解説】
比表面積という聞きなれない言葉が出るが、問題文中に「比表面積は体積当たりの表面積の大きさのこと」とあるので、比表面積=表面積÷体積と表すことができ、すなわち $ \dfrac{表面積}{体積} $ ということである。
(あ)の【解説】
「太さ」を変えた時「比表面積」がどうなるかを簡単な立体で試してみる。
一辺が1cmの立方体を立体Aとして手前の面を麺の断面=太さ、奥行きを麺の長さと考える。
次に立体Bを、手前の面を2cm×2cmとして太さを立体Aの4倍、奥行きは1cmで長さが変わらない直方体をとして、「比表面積」がどのようになったかを比べてみる。
立体A | 立体B | |
表面積 | $ 6cm^{2} =1cm^{2} × 6 $ | $ 16cm^{2} =4cm^{2} × 2+2cm^{2} × 4 $ |
体積 | $ 1cm^{3} =1cm × 1cm ×1cm $ | $ 4cm^{3} =2cm × 2cm × 1cm $ |
比表面積 = $ \dfrac{表面積}{体積} $ | 6 = $ \dfrac{6}{1} $ | 4 = $ \dfrac{16}{4} $ |
手前の面である麺の太さが太くなると、比表面積は小さくなっているので、(あ)はイの「小さく」を選ぶ。
(い)の【解説】
(あ)を考えた時に、麺の太さが太くなると比表面積は小さくなることが分かった。逆に、麺の太さが細くなると比表面積は大きくなると 考えられる。
【資料1】のグラフは右に行くほど比表面積は大きくなるので、太さは右にいくほど細くなる。ゆきやぎ・一般的なそうめん・うどん(太さ1.7mm)の中でもっとも右側になるのは、もっとも細い「ゆきやぎ」なので、ウとなる。
問題3(2)【解説】
【資料1】のグラフより比表面積が増えるほど麺1gあたりに絡むつゆの量も増える。
比表面積が増えるのは、麺が細くなるからなので、【資料2】と【資料3】を参考にして6種類の麺を太い順、すなわち比表面積が小さい順に並べてみると、うどん(1.7mm)、冷麦(1.3〜1.7mm)、一般的なそうめん(0.9mm)、白龍(0.6mm)、ゆきやぎ(0.4mm)、白髪(0.3mm)となる(【資料3】での書き順が、太さ順になっていないので注意)。
よって、冷や麦は絡むつゆの量が2番目なのでイ、白龍は4番目なのでエとなる。
問題4
問題4【解説】
ア 【資料4】より、アミロペクチンを含むデンプンがふくらみ糊のようになるとモチモチした食感となる。うどんはアミロペクチンを多く含むとあるので、正しい。
イ 【資料6】より、アルコール水溶液でないと抽出できないのはグルテニンであるので、間違い。
ウ 【資料4】と【図1】より、アミロースはグルコースが一本につながったもの、アミロペクチンは枝分かれしているとあるので、正しい。
エ 【資料6】より、弾性はグルテニンに水が入り込むことでおきるので、間違い。グリアジンは粘り気の元になる。
オ 【資料5】より、生地をこねるのは生地中のタンパク質に水を出合いやすくするためなので空間効果、生地をねかせるのは化学反応のための時間を多く取るためなので時間効果となり、間違い。
カ 【資料6】の【表1】にある「タンパク質を溶かす性質」が、弱い→強いとは、性質が強い溶媒はその溶媒よりも性質が弱い溶媒で抽出できるタンパク質も抽出できるということである。食塩水は、アルブミンとグロブリンを抽出できるということになる。抽出できるタンパク質は15+3=18gとなり、10g以上溶け出すので、正しい。
【問題3】で出てきた「比表面積」ってどんなところで応用されているんだろう?
「比表面積」って
例えば、ホッキョクグマ(体長:3m、体重:450kg)は他の熊(例えば、日本の本州に生息するツキノワグマ、体長:1.5m、体重:120kg)に比べて、ものすごくデカいことに関係しているんだ。
ホッキョクグマは、冬は氷点下にもなる極寒の北極圏に生息していて、寒い冬の季節は体の表面から体温がドンドン奪われていくね。ここで、体の大きさすなわち体積は体温を貯えられる量、体温がうばわれるのは体の表面積に関係するよ。問題3の(1)で解説したように、体積が増えても同じようには表面積は増えなかったね。体を2倍大きくしても、表面積は2倍ほどは増えないから、体を維持するだけのエサをとることができれば、体温を維持するという点では体を大きくすればするほど有利ということだよ。
大問3
問題1
問題1【解説】
【会話文1】のみなみさんが、「樹形図を使って、次のように考えます。」という発言の中で、希望者が2人の場合は1通り、希望者が3人の場合は3通り、希望者が4人の場合は6通り、と言っています。
さらに、【会話文1】の【図1】の下のみなみさんの発言の最後で、「先ほど希望者が2人、3人、4人のときの組み合わせと、点の数が同じになっています。」
とありますので、【図1】より、希望者が2人の場合は【図1】の1番目、希望者が3人の場合は【図1】の2番目、…となります。希望者の人数より1つ少ない数が〇番目となる点の数をみればよい。
よって、希望者が10人ということは、【図1】では9番目に当たるので、9番目の点の数(三角数)を答えれば良い。
9番目の三角数の出し方は、先生の発言から1から9つ続いた整数の和でしたね。
よって、1+2+3+4+5+6+7+8+9=45となります。
1~10までの和は「55」と覚えてしまおう。1~9までの和は55ー10で45とすぐに計算できるよ。
問題2
問題2【解説】
[あ]〜[う]については、まず[う]が4番目の三角数とあるので、なんとか10個の丸を白丸4個と黒丸6個できれいに表すことが出来ないかを考えてみる。
上の1~3段目までを使って白丸(○)でダイヤ(♢)の形、黒丸(●)で3~4段目の空いている場所を使って三角形を横に二つ並べる(▲▲)ことに気が付ければよい。ここで、3番目や4番目でも成り立つのか確認を始めると時間が足りなくなってしまう(そこにはまってしまって時間がギリギリになってしまった…)。
【わかったこと】の[え][お]について(実際の試験では、解答欄の不備により解く必要はなかった問題)の解説です。
3番目、4番目も同じように組み合わせてできる、とあるので試してみる。
【表2】より、3番目の正方形数は9、3番目の長方形数は12となるので、足すと21となる。【表2】から、三角数で21となっているのは6番目と分かる。
【表2】より、4番目の正方形数は16、4番目の長方形数は20となるので、足すと36となる。【表2】には、三角数で36となっているものはないので、何番目の三角数が36となるかを確認する。
7番目の三角数は、6番目の三角数である21に7を足した28となる。8番目の三角数は、7番目の三角数である28に8を足した36となり一致する。
これより、
2番目の正方形数と長方形数の和は、4番目の三角数となる。
3番目の正方形数と長方形数の和は、6番目の三角数となる。
4番目の正方形数と長方形数の和は、8番目の三角数となる。
以上のことから、a番目の正方形数とa番目の長方形数の和は、a×2番目の三角数となることがわかる。
問題3
問題3【解説】
【資料1】の立体の点とその数を整理した図をみると、一つ前の正四面体の下に新しい底面ができているので、その底面の点の数だけ増えていることになる。
底面の点の数に着目すると、底面の点の数は1、3、6、10…となる。底面の点の増加分をみてみると、2番目なら2個増加、3番目なら3個増加、4番目なら4個増加していることが分かる。
このことから、4番目の底面の点の数は、1+2+3+4と三角数で求められることが分かる。
1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | |
---|---|---|---|---|
点の数 | 1 | 4 | 10 | 20 |
底面の点の数 | 1 | 3 | 6 | 10 |
底面の点の数 増加分 | 2 | 3 | 4 |
続けて8番目までの底面の点の数を求めてみる。
5番目の底面の点の数は10+5=15、6番目は15+6=21、7番目は21+7=28、8番目は28+8=36となる。
1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 | 6番目 | 7番目 | 8番目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点の数 | 1 | 4 | 10 | 20 | 35 | |||
底面の点の数 | 1 | 3 | 6 | 10 | 15 | 21 | 28 | 36 |
底面の点の数 増加分 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
点の数は、底面の点の数だけ増えるので、
6番目の点の数は35(5番目の点の数)+21(6番目の底面の点の数)=56
7番目の点の数は56(6番目の点の数)+28(7番目の底面の点の数)=84
8番目の点の数は84(7番目の点の数)+36(8番目の底面の点の数)=120
よって、8番目の点の数は120となる。
1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 | 6番目 | 7番目 | 8番目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
点の数 | 1 | 4 | 10 | 20 | 35 | 56 | 84 | 120 |
底面の点の数 | 1 | 3 | 6 | 10 | 15 | 21 | 28 | 36 |
底面の点の数 増加分 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
この8番目の点の数(120)は、1番目の点の数に、2番目から8番目までの「底面の点の数」を足すことでも求められるので
1+3+6+10+15+21+28+36=120 となり、[あ] ~ [く]となる。
最後のみなみさんのセリフ、当たりくじが3枚の場合で「希望者が3人のときは1通り、4人のときは…、あっ。組み合わせと図形の関係って面白いですね。」って気になりますよね。
最後のみなみさんのセリフの解説です(今回の適性検査の内容には直接関係ないので読み飛ばしても結構です)。
組み合わせを求めるのに【会話文1】で、みなみさんは樹形図を使って求めるのは大変と言っていましたので、ここでは少しズルをして高校数学で習う「組み合わせ(Combination)」を使って話を進めます。みなみさんが樹形図で組み合わせを数えていましたが、その部分の代わりになります。もしかしたら塾とかで習っている子もいるかもね。
希望者の人数から当たりくじを持つ人の組み合わせを知りたいので、$ {}_mC_n $で求められます。mが希望者の人数、nが当たりくじの数となります。
$ {}_mC_n = \dfrac{m×(m-1)×(m-2)×…×(m-n+1)}{ n×(n-1)×(n-2)×…×1} $
分子は、mから始めて(m-1)、(m-2)と一つずつ数を小さくしていき、n個分を掛け算でつなぎます。
分母は、nから始めて(n-1)、(n-2)と一つずつ数を小さくしていき、n個分を掛け算でつなぎます。nから始めてn個分なので最後は必ず1になります。
具体的に希望者が5人で当たりくじが3本の場合では、${}_5C_3=\dfrac{5×4×3}{3×2×1}=\dfrac{60}{6}=10$となります。
この組み合わせの出し方が正しいか、すでにわかっている当たりくじが2枚の場合で確認してみましょう。
希望者が2人の場合:${}_2C_2 =\dfrac{2×1}{2×1}$ = 1通り
希望者が3人の場合: ${}_3C_2 =\dfrac{3×2}{2×1}$ = 3通り
希望者が4人の場合: ${}_4C_2 =\dfrac{4×3}{2×1}$ = 6通り
となって、同じであることが分かりますね。
では、一気に「当たりが3枚」の場合を考えてみましょう。
希望者 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 | 8人 | 9人 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
${}_mC_n$ | ${}_3C_3$ | ${}_4C_3$ | ${}_5C_3$ | ${}_6C_3$ | ${}_7C_3$ | ${}_8C_3$ | ${}_9C_3$ |
組み合わせ | 1通り | 4通り | 10通り | 20通り | 35通り | 56通り | 84通り |
当たりくじが3枚の場合の組み合わせの数は、正四面体を積み上げた時の「立体の点」と一致しましたね。予想が当たった人も多かったのではないでしょうか。
当たりくじが2枚の組み合わせの数は、三角数の点の数と同じでした。当たりくじが3枚の組み合わせの数は、積んだ正四面体の点の数と同じでした。当たりくじが2枚だと平面の三角形、3枚だと立体の正四面体になりました。では、当たりくじが4枚だとしたらどうなるでしょうか??考えてみるのも面白いかもしれませんね。
大問4
問題1
問題1【解説】
【会話文1】で音を小さくする場合の説明があるので整理すると、
- 音を小さくするには、電流の大きさを小さくする。
- 電流の大きさを小さくするには、直列でつないだ電気抵抗器の数を増やす。
- 電流が小さくなったということは、電気抵抗が大きくなったことを意味する。すなわち、直列でつないだ電気抵抗器の数を増やすと電気抵抗が大きくなる。
- Yは抵抗器にあたるので、Yの長さを長くすることは、抵抗器の数を直列つなぎで増やすことと同じである。
まとめると、音を小さくするには、電気抵抗を大きくして電流を小さくする必要があるので、Yの長さを長くする。
問題1では、音を大きくする場合のことを聞かれているので、音を小さくする場合の逆を考えればよい。電気抵抗を小さくして電流を大きくする必要があるので、Yの長さを短くする。
問題2
問題2【解説】
[あ]、[い]で聞かれている内容とは、電流と抵抗器の関係について、抵抗器が直列と並列の場合でそれぞれどのように表すことができるのかを聞かれている。
抵抗器が直列の場合は、【会話1】の【表1】の下で、みなみさんが「電流の大きさ=300(mA)÷ 抵抗器の数」と言っているので、抵抗器の数で割る(÷)ことが分かる。
抵抗器が並列の場合は、【会話2】の【表2】の下で、みなみさんが「電流の大きさ=300(mA)× 抵抗器の数」と言っているので、抵抗器の数をかける(×)ことが分かる。
[あ]は、直列になった抵抗器3個のかたまりを一つの大きな抵抗器として考えて、それらが2個の並列になっているとみた場合となる。
直列の場合の【表1】をみると、抵抗器が3個直列にならぶと電流は100mAとなる。それらが並列に2つならぶ(×2)ので、100mA × 2と表すことができるので選択肢のイとなる。
[い]は、まず並列で2つに電流が分かれてからその中の抵抗器は3個が直列になっているとみた場合となる。
並列で2つに分かれた場合は、【表2】より電流は600mAとなる。これは2つに分かれて、分かれた先の抵抗器が1つずつの場合である。問題文では分かれた先の抵抗器の数は直列で3個ずつなので、分かれた電流600mA ÷ 3と表すことができるので選択肢のオとなる。
問題3
問題3【解説】
【会話文2】の【回路図6】での説明と同様に考えられる。【回路図7】は「抵抗器5個を直列つなぎにしたものが、4つ並列つなぎになっている」もしくは「電流の通り道が4つに分かれていて、それぞれの通り道について抵抗器が5個直列つなぎになっている」と考えられる。どちらの考え方で計算しても構わない。
「抵抗器5個を直列つなぎにしたものが、4つ並列つなぎになっている」と考える場合は、抵抗器を5個直列にしたのは、300(mA)÷ 5とあらわすことができ、それらが4つ並列につながっているので、300(mA)÷ 5 × 4 = 60 × 4 = 240(mA)となる。
「電流の通り道が4つに分かれていて、それぞれの通り道について抵抗器が5個直列つなぎになっている」と考える場合は、電流の通り道が4つに分かれている(抵抗器が並列に4つつながる)のは、300(mA)× 4とあらわすことができ、それらが5個直列につながっているので、300(mA)× 4 ÷ 5=1200 ÷ 5=240(mA)となる。どちらの考え方だとしても240(mA)となる。
適正検査Ⅱの解説は以上となります。いかがでしたか?
適正検査Ⅰの解説はこちらです。
公立中高一貫校を考えた時に読んだほうが良い本
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公立中高一貫校の過去問集でいわゆる「銀本」と言われる本。年々厚さと金額を増していっている。全国の公立中高一貫校の過去問が掲載されており、公立中高一貫校の出題形式に慣れるために全国の過去問を解いてみるのが良いとされています。
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横浜市立南高校附属中学の過去問は、「声の教育社」「東京学参」「教英出版」の3社から発売されています。出版社によっては、適性検査Ⅰの文章が著作権の許可が下りずに掲載されていない場合もあるので中身を確認してくださいね。また、要約文などの解答例が出版社によって異なるので、複数のパターンを確認したい場合は、複数の出版社を持つのも良いと思います。
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要約文のパターンを別にしたいのであれば2冊目として「東京学参」や「教英出版」を検討してもよいかも。
「声の教育社」「東京学参」は本形式ですが、「教英出版」は1年度ごとに分かれていて解答用紙も実寸大となっているので、直前期に本番さながらに過去問に取り組みたい時に便利です。